名古屋での打ち合わせ当日。
涼香は朝の「どっきり企画」でベッドのシミを晒され、「#涼香水たまり2.0」がSNSでトレンド入りした屈辱を抱えたまま、田中との打ち合わせへ向かう。
「またトイレで笑いもの…白いイメージ、守りたかったのに…」
ファンのDMが心の支えだが、トイレが近い体質への不安がちらつく。
「あのドリンク…なんか変だったよね…?」
体が落ち着かず、椅子の上でそわそわする。
田中は脂ぎった笑みを浮かべ、企画書を差し出す。
「今、万博やってるだろ?それで、お昼の人気番組『まつこにまかせろ!』で3時間の万博特番が放送される。涼香、お前はそのリポーターだ!全国に顔売るチャンス! しかもな、Yチューブでバンされたお前のために、規制の緩い海外配信サイト『パンチ』に新チャンネル作っといた。番組とパンチの二元中継だ! 全国中継とのコラボで、チャンネル登録が一気に激増するぞ!」
涼香の目が輝く。
「パンチ…? 配信、復活できるんだ!」
テレビと配信の同時展開は、彼女の知名度を一気に引き上げる絶好の機会だ。
トラウマや屈辱が頭をよぎるが、「ここで這い上がる!」と前向きに考え、快諾する。
「田中さん、ありがとう! やります!」
だが、田中の指示に涼香は耳を疑う。
「涼香といえばトイレだろ? 万博のトイレを中心にリポートしろ。万博の多様なトイレ、めっちゃ映えるぞ!」
涼香の体がピクッと反応する。
「トイレ…? またトイレ!?」 トラウマがフラッシュバックし、一瞬怯む。

涼香は戸惑う。
「え? トイレ? もっと世界の建造物とか…」
田中がニヤリ。
「そっちは彩乃ちゃんがリポートする。万博の目玉は彩乃で、トイレは涼香だ!」
涼香の心がざわつく。
「彩乃…? またアイツと…?」
彩乃の「全部見えちゃって可哀想」が蘇る。
剛毛論争を煽ったあの軽薄な声。
さらに、彩乃が華やかな建造物を、涼香がトイレを担当する格差に、落ち込みが胸を締め付ける。
「なんで私、いつもこんな…」
だが、彼女は唇を噛む。
「止まってられない。夢の道、この境遇でもCM女王のために頑張ろう!」
涼香が知らない裏事情があった。今回のステマは万博そのものだ。政府は国民の万博への批判を覆すため、機密費をテレビ局に裏金として流していた。局は政府の忖度に応じ、「万博最高!」の風潮をステマで作り上げる計画。田中は「視聴率!金!」とほくそ笑むが、まさか国まで絡んでいるとは、涼香は想像だにしない。
田中の頭の中では、さらに別の策略が渦巻く。「二元中継で涼香の頭はパンパン。テレビと配信のカメラを意識して、隙が生まれる!」 彼は涼香の「トイレ=下半身」のイメージを最大限に利用し、羞恥のハプニングを狙う。そして、彩乃は涼香を好ましく思っていない。洞窟での涼香の屈辱が、一部層で「健気」「応援したい」と人気が上がっていることに、彩乃は苛立つ。「恥ずかしい目にあっても、なんで人気上がるの? 落ちればいいのに!」 そんな二人が同じ万博会場でリポート。トイレといえば下半身、涼香といえばハプニング。これは何も起きないわけがない!
涼香はパンチの新チャンネルを確認する。ファンのDMが届く。「涼香ちゃん、新チャンネル楽しみ!」「絶対応援するよ!」 心が温まるメッセージ。涼香は息を飲む。「トラウマが…でも、ファンのため、夢のために!」 彼女は知らずに、田中の策略と彩乃の敵意が交錯する巨大利権・万博の舞台へと足を踏み入れる。涼香の物語は、屈辱と夢の狭間で新たな試練(恥)へと突き進むため、新幹線で西へと向かう。

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