【涼香】35.因縁の対決 涼香VS彩乃 勃発

小説

かつて日本はGDP2位の経済大国として栄えていたが、2010年に中国に抜かれ3位に転落。

2023年にはドイツに抜かれ4位となり、今年2025年、ついにインドに抜かれて5位に転落することが確定した。

日本経済は一部の人間が搾取・中抜きするばかりなので案の定、転落が加速している。

そんな中、広告代理店はインドのインバウンドを狙い、ヨガ教室のチェーン店を全国展開する戦略を打ち出した。その目玉として企画されたのが、涼香VS彩乃のヨガステマ番組だった。

スタジオに設けられたヨガマットの上、涼香と彩乃は対峙していた。

インストラクター(インド人)が現れ、

「涼香、彩乃。2人トモヨロシクネー」

「両手ヲ揃エテ仲良ク挨拶シマショウ」と明るく指示する。

だが、二人の視線は鋭く絡み合い、睨み合う。ぎこちなく手を合わせる挨拶のポーズは、緊張と敵意でぎくしゃくしていた。

涼香の心には、数々の屈辱がよぎり、彩乃への闘志を燃え上がらせていた。

案件を取られ、夢を破られ、

度重なる恥辱によりキャリアの危機を仕掛けられてきた相手と仲良くできるわけがない。

彩乃はこれまでライバル達を蹴落として今のポジションに至る。

しかしこの涼香には無人島で勝利した時も、万博リポートで格差を見せつけても何故か視聴率では勝てない。

この対決で今回こそ涼香のプライドをズタズタに切り裂き、視聴率を奪いたい。

静寂を破ったのは彩乃の挑発だった。

「涼香、いつも同じ服じゃない?それしかないの?」

とニヤリと笑う。

涼香は即座に反撃し、

「は?あんた何その格好?お姫様?ださ!」

と切り返す。

彩乃はさらにエスカレートさせ、

「いやいやいや。ノーパンのあなたに言われたくないよw 露出狂!変態!お漏らし!」

と嘲笑う。

涼香の怒りが爆発し、「黙れ!」と叫んで右ストレートを繰り出した。

とっさに彩乃はジャブで牽制するが、涼香は動じず、

すぐにフックで返す。腰の入った本気のパンチが空気を切り、彩乃の鼻をかすめる。

寸前でバックステップで避けた彩乃だったが、緊張感はピークに達した。

バックステージで田中平蔵が叫ぶ、

「やめろーーー!!あいつらが怪我したら、俺が中抜きできなくなるだろ!誰か止めろ!」

と焦る声が微かに響く。

しかし、二人は止まらない。

激しさが増し、髪が乱れ、スカートが舞い、スタジオ内に緊張が渦巻いた。

涼香が再びフックを繰り出した矢先、彩乃はクロスカウンターを狙う。

動きが激しくなり、髪がカメラフレームから飛び出す!

日本経済が中抜きで瘦せ細り衰退していく現状とは逆に、彼女たちの争いは荒々しくヒートアップ!

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