【涼香】57.戦士の証

小説

オーディション会場は、スポットライトの熱とコメント欄の騒めきで爆発寸前だった。

万由(偽名:マユ)は正義の信念を崩さず、グエンズの不気味な視線を股間に受け止める。

右のグエンがニヤリと笑い、続ける。

「さあ、続きだぜ、嬢ちゃん。もっと見せてくれよ!」

左のグエンが畳みかける。

「手伝おうか? びろーんってな!」

二人とも下品な笑いを漏らす。

「へへへへ!」

「ひひひひひ!」

万由の目は一瞬鋭くなるが、冷静に答える。

「いいえ。手伝いなんて必要ない。」

彼女は涼香の失踪の手がかりを掴むため、田中の組織の闇に潜り込む覚悟を決めている。

彼女はビキニのボトムスに手をかけ、一気に引き千切る。

白いパンツが露わになり、スポットライトの下で輝く。

その白さは、まるで彼女の潔白な正義を象徴するかのように、スタジオの空気を切り裂く。

コメント欄が歓声の嵐で埋め尽くされる。

「すげえ! 自ら脱いだ!」

「マユ、めっちゃ潔い!」

「真面目っぽい白だ! カッコよすぎ!」

海外からも熱狂が。

「Holy shit, she did it herself!」 (マジか、自分でやった!)

一部の視聴者は芸術性を称える。

「この大胆さ、アートだ!」

「彼女の覚悟、魂感じる!」

海外からも「Pure courage, it’s art!」

(純粋な勇気、これはアートだ!)。

だが、批判も飛び交う。

「ここまでする必要ある!?」

「搾取すぎる!」

海外からも

「This is too far!」 (やりすぎだ!)

万由は内心、恥ずかしさで心臓が爆発しそうだった。

同僚や尊敬する上司・佐藤がこの配信を見ているかもしれない。

それでも、彼女の正義への信念は揺らがない。

「涼香さんのため…田中の闇を暴くため、ここで怯むわけにはいかない!」

コメント欄がさらに過熱。

「マユ、漢すぎる!」

「俺は推す!」

海外からも

「She’s a fucking hero!」 (彼女、マジでヒーローだ!)

だが、グエンズの調子に乗った笑い声が続く。

「へへへ! まだまだだぜ、嬢ちゃん! もっと手伝おうか? びろーんって!」

彼らの下品な哄笑に、万由の我慢が限界を超える。

「黙れ!!不法移民! お前ら、ビザちゃんと持ってるのか!? 出してみろ!!」

「ビザを出せ!」

彼女の怒声がスタジオに響き、グエンズの笑顔が一瞬凍る。

図星だった。右のグエンが目を逸らし、左のグエンがムッとする。

スタジオは不気味な静寂に包まれる。

田中はモニターを睨み、呟く。

「…なんだこいつ、やっぱり何かおかしいぞ。」

彼の目は疑念でギラつく。

万由はハッとして冷静さを取り戻す。

「しまった…オーディション中だ。大人しくしないと、潜入がバレる!」

彼女は心拍数を抑え、静かに言う。

「自分でできますから。」

内心の動揺を押し殺し、彼女はパンツを脱ぎ、全裸になる。

スポットライトが彼女の鍛え上げられた身体を照らし、引き締まった筋肉と女性らしい曲線が、まるで戦士の彫像のように輝く。

カメラがマユの股間に向かってズームインする。

股間には、短く粗く剃られた黒い陰毛が、伸びかけの状態で不揃いに広がる。

丁寧さとは程遠いその剃り方は、観られることを意識したパイパンではなく、

訓練の邪魔になるから、蒸れるからと、彼女が実用性だけを求めてカミソリを当てた結果だ。

柔道の道着や剣道の袴の中で動きやすくするため、汗と摩擦を避けるための簡素な処理。

伸びかけの陰毛は、ところどころ長さがバラバラで、剃り跡が粗々しく残る。

それでも、万由は迷いを振り切って全裸を晒した。

その背反的な姿

――観られる前提などない、ストイックな訓練の副産物である陰毛を、堂々と見せる覚悟――こそが、

彼女のヒーロー性を際立たせる。

粗野な剃り跡は、彼女の正義への執念と、飾らない本物の強さを刻むキャンバスとなる。

コメント欄は、まるで爆発したかのように熱狂の嵐に包まれる。

「マユ、すげえ! この真剣さ、ガチのヒーローだ!」

「伸びかけの陰毛、めっちゃリアル! 訓練の証じゃん!」

「この粗さ、逆にカッコいい!」

「Her raw look screams discipline!」 (彼女の生々しい姿、規律そのものだ!)

「That unshaven edge, true hero vibes!」 (あの伸びかけの粗さ、真のヒーローの雰囲気!)

一部の視聴者は詩的に称える。

「伸びてきた陰毛は、戦士の足跡。彼女の裸は、正義の荒野に咲く一輪の花。」

「Her rawness is poetry in defiance!」 (彼女の生々しさは、反抗の詩だ!)

「A warrior’s mark, unpolished and glorious!」 (戦士の刻印、磨かれずとも栄光だ!)

一部は涙ながらに

「泣ける…」

「ここまで…マジ尊敬!」

だが、批判も止まらない。

「こんなオーディションやめろ!」

「搾取以外の何!?」

海外からも「Stop exploiting her!」 (彼女の搾取やめろ!)

田中は突然立ち上がり、マイクを握る。

「よし、わかった! マユ、君、失格だ!うちのタレントには向いてねえ!」

万由の顔が一瞬青ざめる。

「ええっ!?」

この配信は上司の佐藤も同僚にもチェックされているだろう…どれだけの視聴者が自分を観ていることか

そんな状況で…ここまでしたのに…彼女の心が揺れる。

だが、田中はニヤリと笑い、続ける。

「しかし、度胸はすげえ。気に入ったよ。派遣スタッフADとして、君を雇う。どうだ? 最低賃金は保証するぜ。」

万由の胸に電撃が走る。

「これだ…! 組織内部に潜入するチャンス!」

彼女は即座に敬礼し、力強く答える。

「ありがとうございます! 一生懸命頑張ります!」

コメント欄が再び沸く。

「マユ、AD!?」

「最低賃金を保証w」

田中は次郎に耳打ちする。

「あいつ、真面目で使えるかもしれねえが、何かおかしい。徹底的に注視しろ。」

次郎が慌てて頷く。

遠くの警察署では、上司の佐藤が配信をモニターで見つめ、呟く。

「潜入成功か、マユ…だが、偽名がそのまんまかよ。正義感は強いが、真面目すぎるぞ。バレたら命取りだ…。」

彼の声には、誇りと心配が混じる。

万由の潜入は始まったばかりだが、田中の組織の闇と涼香の失踪の真相は、すぐそこに迫っているのかもしれない。

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