エキゾチカ店舗B。
剥ぎ取られた布が床に落ち、カメラの赤いランプが無慈悲に点滅する。ももは両手で顔を覆った。
裸ではなく、顔を隠したくなった。
自分の髪が肩に乱れ、瞳が指の隙間から覗く。
その顔と、自分の全裸が同じ画面に映るという事実が、胸を抉る。

「やだ……こんな顔、見られたくない……!」
いつもステージで輝くために染めた明るい髪。
アイドルになるために無理してでも作り続けた笑顔。
それが今、恐怖と羞恥に歪んでいる。
無理にでも笑顔を保ってきた「もも」が、崩れていく。
それが一番怖かった。
手で隠した顔の下で、唇が震える。
「笑えない……笑えないよ……」
カメラは容赦なくズーム。
肌に映える、ぴんと尖ったオレンジがかったピンクの乳首。
薄く伸びた黒い陰毛が、照明に濡れて光る。

地毛の色が、彼女が「なりたい自分」になるために隠してきた真実だった。
【コメント欄】
「ももちゃん顔隠してるのエロすぎ……」
「笑顔のアイドルが壊れる瞬間、ヤバい」
「乳首ピンピンじゃん!恐怖?それとも感じてる?」
「黒い陰毛キター!普段の金髪は染めてたんだな」
「顔見せろよ!泣いてる顔見たい!」
「これが本当のももなんだろ?最高に興奮する」
ももはファッカーズの一人が読み上げるコメントを聴いて、ますます顔を押し隠す。
「違う……こんなんじゃない……!」
いつも「みんなを笑顔にしたい」って言ってた自分。
握手会で「ももちゃんの笑顔に救われたよ」って言われた自分。
その笑顔が、今、完全に崩れている。
カメラに映る自分の恐怖顔が、世界中に晒されている。
それが一番耐えられなかった。
裸より、顔を晒されることの方が怖かった。
裸はまだ「身体」だけど、顔は「もも」そのものだから。
震える指の間から、涙がこぼれ落ちる。
【コメント続々】
「涙落ちた!」
「顔隠してるのにエロすぎる」
「笑顔のアイドルが泣いてる……壊れた」
「これが本当のももちゃんか……興奮する」
「黒毛と泣き顔のギャップ、神」
ももは耳を塞ぎたくても、手は顔から離せない。
「見ないで……こんな私、見ないで……!」
だがカメラは止まらない。
ももは震えながら、ただ顔を隠し続けることしかできなかった。
いつも作ってきた笑顔が、もう二度と戻らないかもしれない。
その恐怖が、裸よりも深く彼女を貫いた。
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マユはバイクを降りると、汗を拭う間もなく店舗Bの住所となるビルに向かって走る。
「……なんだこの寂れたビルは?
こんなところで “正式なマッサージ店舗” を営業できるわけがない。
…怪しい!」

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