万博会場に到着した涼香は、スタッフ控室で深呼吸。
テレビ特番と新配信チャンネル「パンチ」の二元中継、今日が本番だ。
白い洋服でスタッフに元気よく挨拶する。
「おはようございます! リポーターの涼香、よろしくお願いします!」
CM女王の夢を胸に、笑顔で気合を入れる。すると、背後から聞き覚えのある声。
「よお、涼香! やっと会えたぜ!」
振り返ると、そこにはたかし。
薄汚れたキャップにニヤけた顔、あの路上放尿水たまり1.0を撮った底辺配信者だ。
「うそ、こいつ!? なんでここに!?」
涼香は目を剥き、声が震える。たかしはヘラヘラ笑い、
「いや、田中にDM送ったらよ、パンチのチャンネルスタッフで雇ってくれたんだ! 配信用の撮影、俺がメインでやるぜ!」
涼香は怒りと恐怖で顔を歪める。
「…は!? ふざけないで! あの配信、あんたのせいで…! 絶対へんなことしないでよ! 変な動画絶対撮らないで!」
たかしは手を挙げて言う。
「お、落ち着けよ。涼香には感謝してるんだ。あの配信で俺もバズったしな。恩返ししたいと思ってんだ、ほんと!」
その目は涼香の股間にチラチラ動き、気になって仕方ない様子。涼香はムッとして、
「どこ見てんのよ!」
たかしはニヤリ。
「今日のパンツ何色? やっぱり白?」
涼香は顔をそらし、無視する。
「…あいつ、ほんと最低…」

会場は人で溢れ、色とりどりのパビリオンが朝日を浴びて輝く。涼香は会場に立ち、カメラに向かって笑顔を振りまく。
「みなさん、こんにちは! リポーターの涼香です! 今日の万博、めっちゃ盛り上がってますよ!」 テレビとパンチの二元中継のプレッシャーで心臓がバクバクするが、「ここで輝けば、過去のイメージを一気に上書きできる!」と自分を奮い立たせる。
だが、利尿剤ドリンクの影響か、妙な尿意が落ち着かない。「トイレ、近いのに…大丈夫だよね?」 彩乃が近くの建造物パビリオンで華やかにリポートする姿が目に入り、格差に唇を噛む。「なんで私、いつも…」
スタッフがインカムで急かす。「涼香さん、挨拶いいから、早くトイレ紹介行って!」 涼香の顔が一瞬こわばる。
「トイレ…? もう?」 田中の「涼香といえばトイレだろ!」が脳裏に響く。トラウマ、屈辱がフラッシュバックし、体がピクッと反応する。「いや、ファンのため、夢のために!」 カメラに笑顔を向け直す。
「それじゃ、万博の最先端トイレ、紹介しに行きますよ!」 スタッフに促され、トイレパビリオンへ向かう。
パンチの配信コメントがちらっと目に入る。「トイレリポートw また水たまり?」「涼香、頑張れ!」

万博のトイレパビリオンに到着した涼香は、カメラの前に立つ。
「こいつ、変な撮り方しないよね…?」 涼香はチラッとたかしを睨むが、CM女王の夢を胸に笑顔を貼り付ける。
田中のステマ台本を手に、元気よく紹介を始める。「みなさん、こちらが製作費3億円のトイレコーナーです! すごい金額! 建築家の魂が吹き込まれています!」
キラキラした内装、近未来的な便器を指さし、台本通りのテンションでまくしたてる。「万博の技術の結晶、めっちゃ映えますよ!」

パンチの配信コメントがリアルタイムで流れる。「涼香、頑張ってる!」「かわいいw」「万博ごり押しうぜえ」「3億円? 中抜きしすぎだろ!」「税金返せよ!」 視聴者の反応は応援から批判まで様々。
涼香はコメントにチラッと目をやるが、「ファンのため、夢のために!」と自分を奮い立たせる。
だが、トイレに囲まれた環境は最悪だ。利尿剤ドリンクの影響で、朝から落ち着かない尿意がさらに増幅。
「やばい…トイレの話してると、なんか…」 股間を締め、笑顔を必死に保つ。

冷や汗をかきながら次の台本を読み上げる。「続いて、こちらのトイレはジェンダーレストイレ! 1つ1つが個室になっていて、どんな人でもプライバシーが守られて安心!」 個室のドアを軽く開けて見せ、カメラにウィンク。
視聴者コメントが加速。「ジェンダーレス、いいね!」「涼香、プライバシー大事w」「水たまり3.0、来る?w」 トラウマがチクッと胸を刺す。水たまり1.0の路上放尿、2.0のベッドシミ…。「もう笑いものにはならない!」 だが、尿意は限界に近づく。
スタッフがインカムで告げる。「涼香さん、ここで出番一旦終了! 次は彩乃さんのパビリオンリポート!」 涼香は内心ガッツポーズ。
「よし、チャンス!」 おしっこが漏れそうな危機に、目の前のジェンダーレストイレに即座に駆け込む。「ちょっと失礼します!」 バタンと個室のドアを閉める。息を切らす。「セーフ…でも、こんな時にトイレって…私、ほんとトイレキャラ…?」
その瞬間、パンチの配信コメントが爆発。
「おお、涼香トイレ突入!」
「たかし、出番だぞ!」
「行け、たかし!」「水たまり3.0、撮れ!」
たかしは配信カメラを握り、恩返ししたい気持ちと知名度を上げたい欲が入り混じる。
アホな性格もあって、コメントの「行け!」に流され、涼香の入ったジェンダーレストイレに向かって歩いていく。
涼香の知らぬ間に、田中の策略と視聴者の煽りが交錯。彼女の物語は、ジェンダーレストイレの個室で新たな試練(羞恥)の幕を開けようとしていた。
コメント